建築設備士を受検したいけど、受験資格はあるのかな?
どんな受験資格が必要なのかな?
こんな悩みにお答えします。
本記事では、建築設備士の受験資格について詳しく解説していきます。
本記事の内容
- 学歴による受験資格
- 資格による受験資格
- 実務経験のみによる受験資格
この記事の執筆者
- 令和3年度 建築設備士一発合格者
- 新築マンションやオフィス改修などの施工管理を経験
- 建築設備士として設備設計事務所にて電気設備設計を経験
- 現在はファシリティマネジメントとして、建築・電気・設備を管理
学歴による受験資格
建築設備士の受験資格は、卒業した学校の種類や課程によって実務経験年数が異なります。
また実務経験には、建築設備に関する実務が必要となります。
大学卒業者
大学の建築、機械、電気またはこれらと同等と認められる類似の課程を卒業した方は、卒業後2年以上の実務経験があれば受験資格を得られます。
4年制大学のみならず、旧制大学を卒業した方も対象となります。
大学卒業者は比較的短い実務経験年数で受験できるため、早期の資格取得が可能(在学4年+実務2年)です。ただし、建築設備に関する専門知識が問われる試験なので、十分な学習が必要となります。
短期大学・高等専門学校卒業者
短期大学や高等専門学校、旧専門学校の建築、機械、電気またはこれらと同等と認められる類似の課程を卒業した方は、卒業後4年以上の実務経験が必要です。
大学よりも短い教育期間ですが、十分な専門知識を身につけられ、卒業後に4年以上の実務を経験することで、総合的には大学卒業者とほとんど変わらない期間(在学3年+実務4年)で実務経験を得ることができます。
高等学校卒業者
高等学校の建築、機械、電気またはこれらと同等と認められる類似の課程を卒業した方は、卒業後6年以上の実務経験が求められます。
高等学校卒業後は、建築や設備関連の会社に就職し、長期の実務経験を経て試験に臨むため、高い専門性が期待できます。
専修学校卒業者
専修学校の建築、機械、電気またはこれらと同等と認められる類似の課程を卒業した方は、以下のように修業年限と単位数によって実務経験が異なります。
・修業年限が4年以上、かつ、120単位以上を修了 ・・・ 卒業後2年以上
・修業年限が2年以上、かつ、60単位以上を修了 ・・・ 卒業後4年以上
・上記以外 ・・・ 卒業後6年以上
職業能力開発大学校等・職業訓練大学校卒業者
職業能力開発総合大学校・職業能力開発大学校・職業訓練大学校の建築、機械、電気またはこれらと同等と認められる類似の課程を卒業した方は、以下のように卒業課程によって実務経験が異なります。
・職業能力開発総合大学校・職業能力開発大学校(総合課程、応用課程又は長期課程) ・・・ 卒業後2年以上
・職業訓練大学校(長期指導員訓練課程又は長期課程) ・・・ 卒業後2年以上
・職業能力開発総合大学校・職業能力開発大学校・職業能力開発短期大学校(特定専門課程又は専門課程) ・・・ 卒業後4年以上
・職業訓練短期大学校(特別高等訓練課程、専門訓練課程又は専門課程) ・・・ 卒業後4年以上
高等学校卒業後、職業能力開発校・職業能力開発促進センター・障害者職業能力開発校・職業訓練施設(職業訓練短期大学校を除く。) 卒業者
高等学校卒業後に、職業能力開発校・職業能力開発促進センター・障害者職業能力開発校・職業訓練施設(職業訓練短期大学校を除く。)の建築、機械、電気またはこれらと同等と認められる類似の課程を卒業した方は、以下のように卒業課程によって実務経験が異なります。
・高等学校を卒業後、職業能力開発校、職業能力開発促進センター又は障害者職業能力開発校 (普通課程) ・・・ 修了後6年以上
・高等学校を卒業後、職業訓練施設(職業訓練短期大学校を除く。)(高等訓練課程、普通訓練課程又は普通課程) ・・・ 卒業後2年以上
同等と認められる類似の課程かで悩んでいる方は、問い合わせをしてみることをオススメします。
資格による受験資格
保有していることによって、実務経験の期間が短縮される資格があります。
以下にご紹介します。
一級建築士取得
一級建築士の資格を持っている場合、2年以上の実務経験で建築設備士の受験資格が得られます。
一級建築士は、建築関連の中でも最上級の資格であり、構造や設備、法規など、建築に関する幅広い知識を持っていることが求められます。
そのことから、建築設備に関しても十分な知識を有していると認められるため、実務経験を短縮することができます。
1級電気工事施工管理技士取得
1級電気工事施工管理技士の資格を持っている場合、2年以上の実務経験で建築設備士の受験資格が得られます。
1級電気工事施工管理技士は、大規模な電気工事プロジェクトの品質や安全などを総合的に管理するエキスパートとして位置付けられています。
建築、空調、給排水など他業種と調整をすることから、総合的に十分な知識を有していると認められるため、実務経験を短縮することができます。
1級電気工事施工管理技士については、以下の記事で解説していますので、興味のある方は参考にしていただけると幸いです。
1級管工事施工管理技士取得
1級管工事施工管理技士の資格を持っている場合、2年以上の実務経験で建築設備士の受験資格が得られます。
1級管工事施工管理技士は、給排水設備や空調、ガス工事などの幅広い管工事に関する深い知識と技術を持つことが求められます。
建築、電気など他業種と調整をすることから、総合的に十分な知識を有していると認められるため、実務経験を短縮することができます。
電気主任技術者取得
電気主任技術者の資格を持っている場合、2年以上の実務経験で建築設備士の受験資格が得られます。
電気主任技術者(電験)は、電気設備の保守・運用に関する高い専門性を有する資格者であり、電力の安定供給と安全性を確保するために欠かせない存在として評価されています。
電気設備の保守・運用のプロフェッショナルであることから、高い専門知識を有していると認められるため、実務経験を短縮することができます。
空気調和・衛生工学会設備士取得
空気調和・衛生工学会設備士の資格を持っている場合、2年以上の実務経験で建築設備士の受験資格が得られます。
空気調和・衛生工学会設備士は、建築設備の分野において特に空調や給排水、衛生設備に関する高度な専門知識を有する技術者として高く評価されています。
空調設備や給排水、衛生設備に特化した技術者であり、高い専門知識を有していると認められるため、実務経験を短縮することができます。
これらの高度な資格保有者は、すでに建築や設備に関する十分な素養を身につけているため、比較的短期間の実務経験で受験を認めています。
建築設備分野への技術者確保を狙った措置と言えると思います。
実務経験のみによる受験資格
学歴や資格に関わらず、建築設備分野での長期の実務経験があれば受験資格が認められます。
建築設備に関する実務経験が通算で9年以上あれば、学歴や資格の有無に関係なく、建築設備士を受験できます。
実務経験の内容
建築設備士の実務経験として認められるのは、主に以下のような業務です。
- 建築設備の設計・工事監理業務(その補助を含む)
- 施工管理業務
- 積算業務
- 維持管理業務(保全、改修を伴うものに限る)
- 官公庁での建築設備の行政、営繕業務
- 大学、工業高校等での建築設備の教育
- 大学院、研究所等での建築設備の研究(研究テーマの明示を必要とします)
- 設備機器製造会社等での建築設備システムの設計業務
建築設備士の実務経験として認められないのは、主に以下のような業務です。
- 建築物の設計・工事監理、施工管理等を行っていたが、このうち建築設備に関する業務に直接携わっていなかった場合
- 単なる作業員としての建築設備に関する業務(設計図書のトレース、計器類の監視・記録、機器類の運転、その他工事施工における単純労働等)
上記に当てはまらない業務で悩んでいる方は、問い合わせをしてみることをオススメします。
まとめ
今回は建築設備士の受験資格にはどのようなものがあるのかをお答えしました。
最後に、この記事の内容をまとめたいと思います。
- 建築設備士の受験資格には、大きく分類すると3種類がある
- 学歴により受験資格を得る場合は、建築、機械、電気またはこれらと同等と認められる類似の課程である必要がある
- 建築設備に関する実務経験が通算で9年以上あれば、学歴や資格の有無に関係なく、建築設備士を受験できる。
- 実務経験として認められる業務が決められているので注意
大学卒業者は比較的短い実務経験年数で受験できるため、早期の資格取得が可能となっていますが、建築設備に関する専門知識が問われる試験なので、十分な学習が必要となります。
大学卒業後に最短で建築設備を取得したい方は、現場にある建築・電気・空調・給排水などをよく見て、名前や何をするためのものなのかを覚えることをオススメします。
建築設備士試験では、さまざまな設備や部材などの名前が出てきますので、自分の目で見たものはイメージがつきやすくなると思います。
実際に、僕は新築現場などでも働いていたため、頭に入ってきやすかったです。
建築設備士はおすすめの資格なので、興味を持った方はぜひ合格を目指してください。
どのように勉強すればいいか悩んでいる方は、興味があれば以下の記事を参照してみてください。